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2010年9月 2日 (木)

山で昼寝→ナラ枯損は止まず

8月29日(日)

当初、土・日・月と北アルプスの某所をテン泊縦走する予定であったが、金曜の夕方に確認した天気予報では土曜の天候が崩れるとのこと。この暑さ、この季節でこの山域の雷雨はすさまじい。特に土曜は、長い行程を予定していたので、一気に気持ちが萎えてしまった。日曜に日帰りでいいやと、土曜に赤谷山の登山口まで入り、車中泊した。

朝、予定の時間に目を覚ましたものの、モチベーションが上がらない。仕事の疲れやよく眠れなかったせいもあるが、とにかくダルイのである。簡単に言うと、「登る気がしない」のである。歩いているうちに調子が戻るのは知っている。それでも、今回はやめることにした。

今日は「山で昼寝」に方針変更。

涼しい場所を探し、時に場所を移動しては昼寝をし、最後は馬場島・剣岳登山口前の広い芝生広場にたどり着いた。木陰に銀マットを広げ、ゴロゴロする。多数の巨大アリが体にはい上がり落ち着かない。昼寝の場所としては不適地であった。

それでも、空を眺めながらのんびりと過ごす。

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(ゴロゴロしながら、空の写真を撮る。山にナラ枯が目立つなあ)

山が紅葉しているようにも見えるが、7月頃から目立ち始める。ナラ枯れ発生地域では、かなりの面積で被害が出ており、初めて見た人は驚くと思う。

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(見上げると頭の上の木も枯れている。寝転がって見上げたので逆さま)

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(登山口側の木も枯れている)

Dsc_13201_2

(木の根元は細かい木屑で粉まみれである。フラスという)

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(幹には多数の穴があり、ここから粉が降っている)

この穴は、カシノナガキクイムシの食入抗である。この虫には、糸状菌=カビの一種Raffaelea quercivora(俗に「ナラ菌」と呼ばれる)を運ぶ器官があり、木に食い入るとこの菌か木に感染して増殖し、木を枯らしてしまう。この虫の幼虫は増殖した菌をエサにするらしい。(詳しくは専門書や確かなサイトで調べてね)

つまり虫と菌がワンセットで被害を与えている。良くできた仕組みである。このような例は、海外ではニレ類の立枯病がとても有名で、被害も甚大である。国内にも、こんな樹木病害があるのを最近まで知らなかった。

このナラ枯れは、国内では古くから発生していたらしいが、ここ数年の被害の拡大が著しい。大きな木に虫が集まるらしく、立派な木が枯れ行く姿は実に痛ましい。実害として、「建築材・シイタケ原木などの資源が失われることや景観の悪化、水源かん養機能の低下、どんぐりを餌とするツキノワグマに与える影響などが指摘されている。」とのことである。なお、今年見た、蓮華温泉への入口、大所川左岸の集団枯損は、斜面の崩落を誘発するのではないかと思えた。

今回訪れた早月川沿岸の山々のナラ枯れは、数年前に気が付いた。昨年もかなり目立っていたと記憶する。落葉してしまえば、森の木々に紛れて目立たなくなるだろうと思っていてが、下の写真のように枯損の頻度の高い場所では、森の復活に時間がかかるかもしれない。

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(枯損の頻度が高い場所では、少々後遺症が残りそうである)

さて、以前、マツの材線虫が流行したころ(この線虫はカミキリムシの一種が媒介)、全国でカミキリムシ防除の農薬が散布された。現在では、そんな乱暴な防除をしようという動きは限定されている。現段階で、ナラ枯れに対する実用的な防除対策は無く、根絶は難しい。自然の摂理として、見届けるしかないとも思う。自然界では、こんなことの繰り返しなのだろう。

ちなみに、ナラ枯れは長期的に見て流行と終息を繰り返すらしい、感受性の高いナラ類の個体が淘汰され、終息するのかとぼんやり考えていたが、そんなに単純ではないらしい。天敵(昆虫や微生物)と関係があるのかもしれない。
流行と終息の要因を理解することにより、もしかしたらこの被害を抑制できるかもしれない。(無理かなあ・・・、いわゆる雑木に投資するだろうか)

以上、少し真面目な自然観察日誌になりました。昼寝の成果です。

追記:学術用語等、記述に不正確な部分があるかもしれません。ご容赦ください。

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